AIを用いたひよこ雌雄鑑定機能で世間を驚かせた開発会社はAI以外もすごかった。四国に拠点を置き、トレンドの変化点を見逃さないソフトウェア開発会社 有限会社電マークさんにお話を伺ってきました。
代表取締役 中野裕介さん「当社有限会社電マークは2000年に情報通信サービスの研究開発を行う会社として創業しました。当社のことを簡単に紹介するのであれば主に以下の3つのアクションに取り組んでいる会社といえます。
1つ目は「配信」、2つ目が「AI(ひよこ鑑定)」、3つ目が「オムニバース」です。
最初の配信事業はおよそ2011年ごろからは取り組みはじめました。2010年代前半は動画配信はまだ黎明期で、当時は通信が3Gから3.5Gに移行する時代にUstreamを用いて、トライアスロン大会など屋外イベントの配信を数多く行ってきました。
2つ目のひよこ鑑定は、専門の資格があることで有名なひよこ鑑定士のお仕事をAIで処理することを目的とした事業です。こちらは外資系企業での開発経験があるシニアアドバイザーである山崎準一さんと4人の外国人チームで取り組んでいます。
そして3つ目がオムニバース。渋沢栄一先生などとリップシンクさせてアバターのように運用することができるMetaHumanのデモで注目いただきましたが映像制作などの可能性を探っている最中です。
基本的には私が面白い、気になっていると感じることにまずは取り組んでいるという形でチャレンジしています。」
電マークのオンライン配信システムについて、ドローン事業部を統括する太田和人さんにお話を伺いました。
「今でこそ珍しくはないですが、当時は珍しかったオンライン配信専用のスタジオまたその機能を備えていました。都市圏ではなく香川県では非常に珍しく、行政関連のお仕事や、イベント関連で強い引き合いを頂いていました。
映像つながりでは2013年ごろに当時はまだ珍しかったドローン(DJI社 S800)を導入、現在でもドローン撮影事業として10台程度の環境で運用しています。」
「最近多いハイブリッドセミナーの配信ではZoom Roomsを用いて講師が遠隔から参加するサービスを提供しています。Zoom Roomsはアプライアンス用に作られたZoomの会議システムです。複数の講師がオンラインから講演をおこなう場合、登壇者ごとに映像を切り替えますが、スムーズな切り替えにはPCを複数台準備して講師の映像をスイッチャーに取り込んだりします。
Zoom Roomsを使うと1台のコンピュータに接続する複数のモニターに参加者ひとりひとりを個別に指定できるようになります。また画質もよくなると感じています。」
Zoom Roomsでのコンパクトな配信環境を実現する理想のPCの条件として太田さんは、
「まずPCにHDMI出力を4基搭載している事。4枚のマルチディスプレイ出力に対応、さらに配信では様々なクライアントや配信場所に対応するため、現状ではHDMIはDPよりも汎用性が高いんです。
2つ目の条件として、Thunderbolt端子を搭載している事です。4K映像などの入出力の際にはAJA VideoやBlackmagic Design製の業務向け機材に接続するため、Thunderbolt端子が必要となります。
また、配信ソフトウェアのvMixやOBSを起動し安定して配信するためのスペックを備えている事。そしてコンパクトな配信環境を実現するためには、当然配信用のPCがコンパクトである必要があります。ZBOXは約20cm四方のミニPCなので、設置環境を選ばない点、さらに輸送も簡単という点には非常に助けられました。」
これらの要望をすべて満たし、よりスマートな環境作りのためQX3P5000が導入されました。
「Zoom RoomsとZBOX QX3P5000を組み合わせた電マークの独自のアイデアにより、コンパクトで合理的なオンライン配信システムに仕上がっています。」と太田さんは語ります。
ひよこ鑑定士という職業をご存知でしょうか。日本が海外に誇る資格で、有資格者数が少なく難易度は高めの資格です。
電マークでは、2018年からひよこのオスメスの識別をするAIをインド市場向けに開発しています。
インドは2030年には世界一の人口になり、卵の生産も世界第2位になるなど、国民の良質なタンパク質摂取のために卵を産むメスのヒナをAIで選別しようというニーズが高いそうです。この世界初の技術開発で、電マーク代表の中野さんは、2018年の総務省「異能vation 破壊的挑戦部門」にも選出されています。
開発担当の山崎さんは、「紫外線をひよこの羽に当てると、励起(れいき)現象で羽がピンク色に反射します。この特性を利用したシステムで、AIの判定精度を高められる」と説明します。現在はまだ技術検証中ですが、ZBOX Eシリーズ EN072080S、EN052060Cを用いてテストしています。」
AdobeのPREMIERやIllustratorでの編集作業にZBOX Eシリーズ MAGNUS ONEを採用。
「以前は編集作業にMacintoshを使っていた時期もありましたが、RTX 30シリーズ GPUの性能による恩恵を受けられるほうが制作しやすいという点から、MAGNUS ONEを採用しました。」と太田さん。
「業務に使用する際、MAGNUS ONEのストレージ交換のしやすさや、持ち運びやすさも、大きなメリットに感じています。」
MAGNUS ONEでは編集だけではなくUnreal Engineの動作検証にも使用されています。
また、「Unreal Engineで作成したシミュレーション空間で4つのバーチャルカメラの映像をAIで処理するため、さらにパワフルなグラフィックスカード ZOTAC RTX 3080 Ti AMP Holoを組み込んだPCを使用しています。」
上記のように電マークでは、クリエイティブな部分において、RTX 30シリーズ GPUの高速な処理性能により業務の可能性を広げることに成功しています。
今後は高性能GPUを搭載する製品でNVIDIA Omniverseを活用した業務展開を予定しているとのこと。
・Zoom Roomsを用いたオンライン配信事業
ZBOX Qシリーズ QX3P5000
・Ai開発 ヒヨコの雌雄鑑別システム
ZBOX Eシリーズ – EN072080S
ZBOX Eシリーズ – EN052060C
・Adobeソフトウェアを使用した映像編集やUnreal Engine
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3080 Ti AMP Holo
中野さん「電マークでは配信の創成期から手掛けるオンライン配信に特に自信があります。当社の高い技術力と経験を用いて、今後は四国地方に限らず全国でも広く手掛けて行きたいと考えています。」
制作協力:
有限会社電マーク
https://dex.co.jp/
<本記事は2022年10月に行った取材をもとに作成されています。>