VRの未来を手に持つグローブ型デバイス

Diver-Xが届ける「触れる」体験と新しい可能性

VR業界に新たな価値をもたらしているDiver-X。2021年に設立されたこの企業は、手の動きを精緻に捉え、触覚まで再現する「ContactGlove」で注目を集めています。今回は、展示会やイベントの企画・運営から営業、広報まで幅広く担当する竹尾 海さんにお話を伺いました。製品開発の裏側からアメリカ市場への挑戦、そして我々ZOTACのミニPCとの連携まで、詳しく教えていただきました。ここでは、その内容をご紹介します。

「インターフェースの壁」をVRで超える

Diver-Xが設立されたのは2021年。設立から3年ほどで社員数は30人弱に成長し、主にハードウェアとソフトウェアの開発チームが中心となって活動しています。オフィスではContactGloveの組み立てやキッティングも行っていますが、「急に事業が拡大してスペースが足りなくなってきました。今は他の場所での製造環境も検討しています」と竹尾さんが笑顔で話してくれました。

Diver-Xが掲げる目標は、「最高のパフォーマンスを発揮するインターフェースを提供する」こと。「パソコンは年々高性能になっていますが、キーボードやマウスといったインターフェースは長年変わっていません。その課題を解決したいと考えています」と竹尾さん。VRはその第一歩です。「新しい分野で挑戦しやすく、開発の自由度が高い点が魅力ですね」と目を輝かせて教えてくれました。

ContactGlove:触れるVRをみんなに

Diver-Xの主力製品は「ContactGlove(コンタクトグローブ)2」。手の動きを正確にトラッキングするセンサーと、触覚を再現するハプティック機能を備えたグローブ型コントローラーです。昨年末の秋葉原イベントでデモを実施し、「非常に多くの方にお越しいただき、参加者の皆さんに楽しんでいただけて良かったです」と竹尾さんが振り返ります。

触れるVR体験を身近にしてくれるアイテム「ContactGlove2」

初代「ContactGlove1」は注目を集めたものの、「指先にコントローラーがあって操作しづらかったり、長時間使うと蒸れやすかったりで、『改良が必要』という声が多かったんです」と竹尾さんが率直に話してくれました。しかし、ContactGlove2ではこうした意見を反映。「3月分はすぐに完売し、5月分の予約が始まっています(取材は2月19日)。発売から4ヶ月、在庫がなく売り切れの状態が続いており、予約販売となっています」と嬉しそうに報告してくれました。

ContactGlove2の他にさまざまなデバイスが展開されています

ほかにも、Meta Questのコントローラーを5本指対応に拡張する「ContactSheet」や、カメラとセンサーで動きを追う「ContactTrack」を開発中。「VRChatやResoniteでよく使われていますが、VTuberのハンドトラッキングやアニメーション制作にも活用が広がっています」と竹尾さんが教えてくれました。

VTuberもクリエイターも:いろんな使い方ができる

特にVTuberからの支持が厚いようです。「最近は3D配信が増えています。大手事務所はスタジオを用意できますが、個人や小規模なグループでは難しいですよね。そうした場面でContactGlove2が役立っています」と竹尾さん。特に個人や小規模なグループでは「mocopi」との連携によって、自宅でも専用スタジオに比敵する高品質な配信環境を実現できる点が喜ばれています。

たとえば、自宅で3D配信を目指すVTuberがカメラだけでは動きに制限を感じる場合、ContactGlove2を使えば手や表情のトラッキングがスムーズに。「クリエイターがアイデアを形にするツールとしても喜ばれています」と竹尾さんが話してくれました。

アメリカへの挑戦:CESで大盛り上がり

Diver-Xは日本だけでなく、アメリカ市場にも挑戦しています。今年のCESではContactGlove2とContactTrackを展示。「アメリカはVR市場が非常に大きく、当社の売上は日本が7割、海外が3割ですが、市場規模は日本と比べものになりません。VRChatのユーザーも日本人が1割程度に対し、アメリカ人が6~7割と言われています」と竹尾さんが教えてくれました。

CESでの目標は販路拡大。「『並ばない展示会』と言われるCESですが、当社のブースは4日間ずっと人が途切れませんでした。インフルエンサーも来てくれて、『これが欲しかった』と好評でした」と手応えを感じたそうです。すでに12月と1月の出荷を開始し、次はデモ機会の増加を目指しています。

CESでのデモ風景。入れ替わり立ち替わり4日間ずっと体験される方がいたDiver-Xのブースは大盛況でした!

アメリカでは幅広い層がVRを楽しんでいます。「都市が離れているためエンタメが少ない地域ではVRが人気です。日本では10代のユーザーは少ないですが、アメリカではクリスマスプレゼントとして子供がVRを受け取ることも。日本ではあまり流行らない『ゴリラタグ』が大ヒットするなど、ユニークな傾向もあります」と驚きの事例を聞かせてくれました。

ライバルに差をつける工夫と機械学習

ContactGloveの強みは何かと尋ねると、「ライバルが少ない点ですね」と竹尾さんが即答。「コンシューマー向けのグローブ型デバイスはほとんどなく、業務向けの高価なものか、最近登場した中国メーカーの製品くらいです。向こうは10万円を超えますが、当社は7万5000円で25%安く、先行者としての使いやすさの改善が強みです」と自信を持って話します。

ContactGlove2の進化には機械学習も貢献しています。「手の動きを正確に捉えるため、社内で社員が指を動かしてデータを集めています。骨格や個体差を考慮し、データを増やして精度を高めています。来月にはアップデートで反映予定です」。GPUサーバーの活用で効率が上がり、「具体的な数字は分かりませんが、作業が大幅に早くなりました」と笑顔で教えてくれました。

ZOTACとイベントをもっと楽しく

Diver-Xは展示会に力を入れています。「月に2~3回開催しています。秋葉原の『メタのみ』は月1回、地方でも月1回。四国や福岡、名古屋にも出展しました。5月10日には『超メタフェス〜VRC大交流会〜』の2回目を予定しています」と竹尾さんが楽しそうに話してくれました。

ただし、VRデモには課題もあります。「1回で30~40人しか体験できないんです。時間がかかるので、もっと多くの人に試してもらえるよう回数を増やしています」。そこで問題になるのがPC。「長時間だとノートPCが熱で止まってしまうし、タワー型だと輸送時の事故が心配です」。

ここで頼りになるのがZOTACのミニPCです。「ZOTAC ZBOX Eシリーズ MAGNUS ONEは頑丈で持ち運びやすく、冷却性能も優れています。『これがないとデモに行きたくない』とチームで話しています」と竹尾さんが評価してくれました。秋葉原イベントではノートPCが限界を迎えたものの、ZBOX MAGNUS ONEのおかげで安定。「地方出展の頻度を考えると、これが最適ですね」と頼りにしてくれているのが、我々にとっても嬉しいポイントです。


ZBOX MAGNUS ONEとContactGlove2のセットアップ。イベントで大活躍の頼もしいコンビです!

未来を描く:ZOTACと一緒に体験を届けたい

竹尾さんはZOTACとの協業にも期待を寄せています。「5月の超メタフェス〜VRC大交流会〜で、グラフィックスカードの交換体験会はどうでしょう? 古いGPUと最新の50シリーズの違いを試してもらえば、きっと驚いてもらえます。VRだとその差が分かりやすいですから」と提案してくれました。

たとえば、10年前のPCや4年前のPCをアップグレードしたもの、最新PCを並べて、「GPUを交換するだけで15万円節約できてデバイスが買えますよ」と伝えたいそう。「難しい説明より、体験してもらえば一目瞭然です。我々ZOTACと一緒にできれば素晴らしいですね」と目を輝かせます。我々もVRイベントを通じて自社のGPUやミニPCを活用し、その価値をより多くの人に届けたいと考えています。

「VRはまだまだ成長段階です。アメリカでのデモを増やしたり、日本で体験の機会を広げたりしたいですね。ZBOX MAGNUS ONEをはじめとするZOTACのミニPCと一緒に、VRの楽しさを伝えていけたら嬉しいです」と竹尾さんが締めてくれました。Diver-Xの挑戦は、我々ZOTACにとっても未来へのヒントになりそうです。

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