東京フィギュアは、フィギュアメーカーと消費者をつなぐ重要な存在です。そのミッションは明確で、山﨑さんは「クリエイターに光を当てる」と力強く語ります。原型師やイラストレーターの技術力を引き出しつつ、彼らが得意でない販売やプロモーションを支援し、作品を世に届ける役割を担っています。
「うちはメーカーじゃないんです。作る人と売る人の2人で立ち上げた会社で、クリエイターがものづくりに専念できるようにするのが役割です」と山﨑さんは説明します。販売、マーケティング、海外流通、不良対応までを一手に引き受け、約50社の個人系メーカーと協力関係を築いています。ワンダーフェスティバルで原型師を発掘し、「販売しませんか?」と声をかける営業活動もその一環です。
ショールームには様々なメーカーが手掛けるフィギュアが展示されています
この仕組みは、農業の農協に例えられます。メーカーが「農家」として作品を創り、東京フィギュアが販路やプロモーションを提供する「農協」のように機能します。「販売店に顔が通らない中国メーカーも多いです。そういう場合に間に入って、有名な販売店に下ろせるのが強みです」と山﨑さんは語ります。法人の読者にとって、この効率的な役割分担は信頼性の高いビジネスモデルとして理解しやすいでしょう。
フィギュア業界の生産は、主に中国に依存しています。「ほぼ中国工場で作られてるんで、中国の情勢に影響を受けやすいんです」と山﨑さんは穏やかに語ります。コロナ禍以降、価格は上昇傾向にあり、数年前なら数百円だったものが今や数万円台になることもあります。円安や人件費の高騰も影響し、消費者の購買行動は「手広く買う」から「1点集中」にシフトしています。こうした変化の中で、全体の売り上げを維持するのは容易ではない状況です。
生産面でも課題があります。中国の工場は高い技術を持っていますが、人件費の上昇や労働力の流動性(旧正月後に戻らないケースなど)がスケジュールに影響を及ぼします。「プレオーダーで3ヶ月、半年遅れることもありますね」と山﨑さんは笑いますが、初めて高額商品を買うユーザーにとっては待つのが大変な場合もあります。東南アジアへのアウトソーシングも視野に入れていますが、「金型技術や労働環境がまだ整っていないので、大手でも難しいです」とのことです。こうした状況で、東京フィギュアはメーカーの品質管理を信頼しつつ、販売側で安定供給を支えています。
東京フィギュアの秋葉原ショールームでは、ソニーの空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」が注目を集めています。「ショールームをオープンするタイミングでソニーさんから紹介されて、『目玉にできないか』って話になったんです」と山﨑さんは振り返ります。イクリエが開発した「アイリス」や「ミナモト」プロジェクトとの連携もあり、この裸眼立体視技術はフィギュアの魅力を引き立てるツールとして採用されました。
秋葉原ショールームで来場者を魅了する「ELF-SR2」の立体展示
ショールームでは、「ELF-SR2」を活用してフィギュアの3Dデータを立体的に展示しています。来場者の反応は熱いです。「海外の方は『アメージング!』って声に出して驚いて、日本人も『すごい!』って手を伸ばすくらいです。VRや映画の3Dとは違う浮き上がる体験が新鮮みたいです」と山﨑さんは語ります。平日は外国人が8〜9割を占め、週末も多くの観光客が訪れる秋葉原の特性が、この技術の価値をさらに高めています。
この展示を支えるのが、ZOTAC ZBOX Eシリーズ MAGNUS EN173070Cです。コンパクトながらRTX 3070 Laptopを搭載し、限られたスペースでの高性能なコンテンツ再生を実現しています。「薄くて小さくて、銃器の中にも収まるから」と山﨑さんが笑うように、そのサイズ感がショールームにフィットしています。法人の読者にとって、こうした技術連携は製品プロモーションや顧客体験向上の具体例として参考になるでしょう。
設置場所に影響を受けづらいサイズ感が最大の魅力のZOTAC ZBOX EN173070C(写真左)
「ZBOX EN173070C」の特長は以下の通りです。
- 高性能GPU搭載: NVIDIA GeForce RTX 3070 Laptop GPUを採用し、8GB GDDR6メモリで高解像度の立体表示やレイトレーシングに対応します。ショールームでの高負荷なコンテンツ再生を安定して支えます。
- 省スペース設計: 幅265.5mm×奥行き126mm×高さ249mmのコンパクトな筐体で、狭い展示スペースでも効率的に配置可能です。
- 強力な処理能力: 第11世代Intel Core i7-11800Hプロセッサ(8コア16スレッド、最大4.6GHz)を搭載し、3Dデータの処理やマルチタスクをスムーズに実行します。
- 拡張性の高さ: 最大64GBまで対応するDDR4 SODIMMメモリ(初期16GB搭載)と、M.2 NVMe SSD(512GB搭載)+空きスロットを備え、用途に応じたアップグレードが容易です。
- 多様な接続性: Thunderbolt 4、USB 3.1、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4aを装備し、複数のディスプレイや周辺機器と連携できます。Wi-Fi 6と2.5Gbps LANで高速通信も確保しています。
- 静音性と冷却性能: デスクトップクラスのクーラーを採用し、高負荷時でも静音性を維持します。長時間の展示運用でも安定稼働を実現します。
なお、「ZBOX EN173070C」は現在販売終了しており、後継機として「EN474070C」などがラインアップされています。後継モデルではさらなる性能向上が期待され、展示環境での活用シーンが広がる可能性があります。法人の視点では、これらのスペックが顧客への訴求力向上や運用効率化に寄与する点が魅力でしょう。
市場変化に対応し、東京フィギュアは東南アジアと中東に目を向けています。「東南アジアはタイやインドネシアでオタク文化が急成長中です。GDPが伸びて嗜好品にお金をかける人が増える地域なんで、イベント出展で先に根を張ってます」と山﨑さんは説明します。中東では、アニメ映画の浸透を背景にロボット系フィギュアで市場を開拓中です。「女性系は宗教的な制約で難しいですが、ニーズに合わせたアプローチが大事です」とのことです。
IPとの連携も強化しています。通常はメーカーが版権を取得しますが、「IP側から『作りたい』と相談が来たら、メーカーとマッチングする役割も担ってます」と山﨑さんは語ります。ゲーム会社とのつながりを活かし、OEM先を紹介する営業も展開中です。この取り組みは、メーカーの実績作りにも寄与し、業界全体の活性化に貢献する可能性を秘めています。
近年、中国発のIPがフィギュア業界で注目を集めています。アズールレーンや崩壊シリーズなど、ソーシャルゲームのキャラクターがフィギュア化され、秋葉原でも存在感を示しています。「日本のIPも根強い人気がありますが、中国系IPは積極的なブランディングで勢いを増してますね」と山﨑さんは指摘します。ヨースターやミホヨが版権管理やマーケティングで力を発揮し、日本のオタク層もその魅力を自然に受け入れています。
フィギュアの種類も多様です。店頭のパッケージ品、プライズ系、そして東京フィギュアが得意とするスケールフィギュアがあります。スケールは受注生産で、7分の1や4分の1サイズの美術品的仕上がりです。「こだわりが強い方が多いんで、すごくシビアな内容での交換依頼も来ます」と山﨑さんは求められるレベルの高さを説明します。一方、ネンドロイドのようなコレクションフィギュアが世界的に人気の中、東京フィギュアはプライズや可動フィギュアも扱い、幅広いニーズに応えています。
東京フィギュア株式会社は、山﨑さんのもと、クリエイター支援と技術革新を軸にフィギュア業界の未来を切り開こうとしています。中国依存の課題や市場変動に柔軟に対応しながら、東南アジア・中東への展開、「ELF-SR2」や「ZBOX EN173070C」の活用、IPとの連携を通じて新たな価値を創出しています。その姿勢は、販売代理を超え、業界を支えるパートナーとしての信頼感を築いています。フィギュアの魅力と可能性を次なるステージへ導く同社の挑戦は、今後も注目に値します。
ZBOX MAGNUS ENシリーズ 法人向け販売について
現在、ZBOX MAGNUS ENシリーズは法人のお客様を対象にお問い合わせを受け付けています。貴社のニーズに合わせて「ZBOX EN173070C」の後継モデル「EN474070C」をはじめとしたビジネス向けの高性能コンパクトPCをご提案いたします。