NVIDIAの最新GPU、GeForce RTX 4080を搭載したビデオカードが発売されました。ZOTACが展開する製品の特徴を紹介していきます。
今回発売されたGeForce RTX 4080搭載ビデオカードは、先に発売されたGeForce RTX 4090搭載製品と同様に、自然な曲線から滑らかな直線に至るエアロダイナミックス(空気力学)のコンセプトから着想を得た“AIROptimizedデザイン”を採用しています。吸排気のエアフローにかかる抵抗を減らし、熱と騒音に対する性能を高めるよう設計されています。
製品ラインナップは、AMP Extreme AIRO、Trinity OCの2製品となっています(標準クロックモデルのTrinityは現時点では発売未定)。各製品の主なスペックは下記のようになっています。サイズが若干異なりますが、それ以外ではGPUクロックで差がついています。
製品名 | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB Trinity OC |
GPU | GeForce RTX 4080 | |
CUDAコア数 | 9728 | |
ビデオメモリ | 16GB GDDR6X(256bit) | |
GPUクロック | 2565MHz | 2520MHz |
メモリクロック | 22.4Gbps | |
最大消費電力 | 320W | |
電源 | 12VHPWR×1 | |
サイズ | 355.5×149.6×72.1mm | 356.1×150.1×71.4mm |
占有スロット | 3.5スロット |
GeForce RTX 4080搭載のビデオカードの中では最上位に位置付けられる製品です。他機種よりGPUクロックが高いだけでなく、仕様の細かい部分で違いがいくつかあります。
電源回路は24+3フェーズとなっており、他機種の13+3フェーズよりリッチな構成。冷却ファンは110mmのものを3基搭載しており、さらに中央のファンのみ回転方向を逆にしてエアフローを高めています。
ZOTAC独自のLEDライティング機能であるSPECTRA 2.0を搭載し、5つのゾーンに分かれたライティングが可能です。またダイキャストによるバックプレートを採用し、外見にも特徴を持たせています。
AMP Extreme AIROは、同じGeForce RTX 4080を搭載するビデオカードの中でも、究極の性能と冷却性能を求める人向けの製品と言えます。
AMP Extreme AIROほどではないものの、オーバークロックを施したモデルです。スペック上ではGPUクロックが15MHz引き上げられているのが特徴です。
冷却ファンは110mmが2基、100mmが1基の構成。LEDライティングはAMP Extreme AIROほど細分化はされないものの、SPECTRA 2.0によるカスタマイズが可能です。バックプレートはダイキャストではないものの、金属製で高い剛性を保ちます。
Trinity OCは、価格に配慮しつつも性能も求めたいという、コストパフォーマンスを狙ったモデルとなります。
・SPECTRA 2.0
ZOTAC製品で採用されているLEDライティングを制御する機能です。今回発売された全製品に搭載されており、カスタマイズアプリのFIRESTORMを介して、ユーザーが自由にLEDライティングをカスタマイズできます。
特にAMP Extreme AIROは豪華なLEDライティングを搭載しており、カスタマイズ性も高くなっています。FIRESTORMを使えば、AMP Extreme AIROに搭載された5つのLEDライティングの部位を連動して動かすことも、個別に設定することも可能です。なお設定はオンボードで記憶されます。
・IceStorm 2.0
今回の製品には、冷却機構としてIceStorm 2.0を搭載しています。
冷却ファンは従来の製品に比べ、最大で2倍の広さを持つ曲面ブレードを採用。またファンの高さも最大60%高くなり、風量を増加させています。ファンは回転を個別に調整できるActive Fan Controlに対応しており、FIRESTORMで設定できます(3連ファンモデルでは、左と中央のファンはグループ化されており、同一の回転数になる)。
さらにヒートシンクはGPUボードの長さを超える巨大なアルミニウムフィンを搭載し、厚さも従来製品より最大30%増加。9本の銅製ヒートパイプにより効率的な冷却を実現しています。
騒音対策としては、中央のファンの回転方向を逆にすることで、エアフローの乱れを抑えて騒音を低減しています(AMP Extreme AIROのみ)。ファンはデュアルボールベアリングで摩擦を低減。各ファンの下部に防振パッドを装着しています。さらにGPUがアイドル時にはファンが自動で停止します。
より騒音対策を強化したい人向けに、冷却モードを変更できるDual Bios機能が用意されています。標準設定のAMPLIFYモード(赤色LED)と、ファンの回転数を落としてやや高めの温度で運用するQUIETモード(緑色LED)が用意されており、物理スイッチまたはFIRESTORMで変更できます。
AMP Extreme AIROとTrinity OCの特徴についてお伝えしてきましたが、導入の際に注意しておきたいこととして、電源の仕様変更があります。既に名前が出ている12VHPWRです。
12VHPWRは、12+4ピンで構成された新たなコネクタで、最大600Wの大電力を供給できるものです。従来のビデオカードで使われていた8ピンや6ピンに代わる存在となります。
8ピンは1口で最大150Wなので、最大消費電力が320WとされているGeForce RTX 4080では、PCI-Expressスロットからの供給と合わせれば、計算上では8ピン×2でまかなえます。しかしGeForce RTX 4080では、GeForce RTX 4090でも採用した12VHPWRを使うことになりました。オーバークロック等により消費電力が増えた時にも、12VHPWRであれば余裕をもって対応できます。
今回発売された製品には、8ピン×3から12VHPWRに変換するケーブルが同梱されていますので、8ピンの数が足りる電源であれば使用は可能です。しかしできることなら、安定性と安全性の面で、標準で12VHPWRを搭載した電源を使用するのが望ましいと思われます。
電源の規格としては、ATX 3.0として定められています。今後新たな電源を購入する際には、ATX 3.0準拠かどうか、または12VHPWRの有無を確認しておくといいでしょう。