はじめに:機材協力の経緯
大阪電気通信大学 総合情報学部 情報学科の土屋天成です。電chGameDevProject(公式X)に所属し、ゲーム開発に携わっています。今回、九州学生ゲーム大祭2025にて、ZOTACよりPCレンタルのご協力をいただき、無事に作品展示を成功させることができました。本記事では、学生開発者の視点から、ミニPCを展示会で活用した体験と機材協力の価値について詳しくレポートいたします。
今回の機材協力をお願いした背景として、開発した作品が3画面出力を要求する特殊な仕様であったことが挙げられます。通常のノートPCではスペック不足となり、デスクトップPCが急遽必要となった状況で、ZOTACのミニPCという選択肢に出会いました。
イベント概要
- イベント名: 九州学生ゲーム大祭2025
- 開催日: 2025年8月22日(金)11:00~17:00
- 会場: ASOポップカルチャー専門学校 校舎(6号館)4F
- 来場者数: 158名(主催者発表)
- 主な用途: ゲーム展示
- 使用アプリケーション: Unity VR / Meta Quest Link / spacedesk / 開発ゲームビルドデータ
イベント概要と展示内容
九州学生ゲーム大祭は、九州地区の学生が開発したゲーム作品を一堂に集める年次イベントです。今回、私たちが展示したのは、3画面同時出力を活用した実験的なゲーム作品でした。この作品は従来のノートPCでは処理能力が不足し、展示に適した環境を構築するために高性能なデスクトップPCが必要でした。
PCレンタルサービスを通じて提供されたZOTACミニPCは、コンパクトでありながら必要十分な性能を備えており、会場での設置も非常にスムーズに行えました。特に、省スペース設計により限られた展示スペースを有効活用できた点は、展示会でのミニPC活用の大きなメリットといえます。


展示作品「戦車シミュレータVR」のゲーム画面
ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ERP74070Cが3画面同時出力とVR処理を並行実行。リアルタイムレンダリングによる没入感のあるコクピット視点を実現している。RTX 4070の高性能グラフィック処理により、複雑な3D環境でも安定した60FPSを維持。
提供機材の仕様
製品名 | ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ERP74070C |
---|---|
プロセッサ | Intel Core i7-13700(8コア16スレッド、最大4.8GHz) |
グラフィック | NVIDIA GeForce RTX 4070(12GB GDDR6X) |
メモリサポート | 最大64GB DDR5-5600(SO-DIMM x2スロット) |
ディスプレイ出力 | HDMI 2.1 x3、DisplayPort 1.4a x1(最大4画面同時出力) |
サイズ | 265.5mm x 126mm x 249mm(コンパクト設計) |
インターフェース | USB 3.2、USB-C、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6対応 |
※ 本記事で使用したERP74070Cは貸出機用のモデルで現在は販売終了しています。
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ZOTACミニPCの使用感と展示会での優位性
実際にZOTACミニPCを使用してみて、PCレンタルサービスの価値を実感することができました。従来のデスクトップPCと比較して、小型・軽量でコンパクトな点が特に使いやすく、ノートPCよりもハイスペックであるため、実験的な作品や完成が間に合わない場合の展示にも最適でした。
展示会での具体的なメリット
小型・軽量であるため、展開・撤収が非常にスムーズで、時間を節約できました。配送についても頭を悩ませることなく、スムーズに展示に活用できた点は学生にとって大きなメリットです。イベントでの機材協力により、物理的な負担だけでなく、金銭的な負担も軽減され、限られた制作時間を有効活用することができました。
3画面出力を要求する作品を不自然なく動作させることができ、期待以上の結果を得られました。特に印象的だったのは、豊富なポートが用意されており、マルチモニターやその他周辺機器を簡単に接続できる点でした。展示会でのミニPC活用における接続性の高さは、複雑な展示構成を実現する上で重要な要素となります。


来場者による作品試遊とZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ECM73070Cの設置状況
上:Meta Quest 2を使用したVR体験中の来場者。下:展示ブースに設置されたZOTAC MAGNUS ONE(黒いコンパクト筐体)と専用ゲームコントローラー。豊富な接続ポートによりVRヘッドセット、3台のモニター、各種入力デバイスを同時接続している。
来場者の反応と今後の展開
来場者の多くはゲーム体験そのものに集中しており、展示設備に対する直接的な関心を示す方は少数でした。裏を返すと、これは来場者が意識できないほど機材が自然に溶け込み、ゲーム体験に集中できる環境を提供できたということです。


九州学生ゲーム大祭2025の会場案内
上:ASOポップカルチャー専門学校エントランスに設置された公式ポスター。下:会場となった6号館4Fへの案内表示。2025年8月22日(金)11:00~17:00の開催で、158名の来場者が学生作品を体験した。
学生開発への影響と可能性
学生によるゲーム開発では、少人数開発や規模の制約により、特に容量を必要とする3Dゲームの展示頻度が少ない傾向があります。主に2Dゲームが中心となる中で、展示会向けミニPCの貸し出しサービスの敷居が下がれば、このレンタルPCを前提とした制作に踏み切る学生開発者が増加する可能性があります。
これまでは大学のPCで制作・テストを行い、展示時に自身のノートPCを使用していましたが、開発環境と展示環境の差により調整に時間を取られることがありました。機材協力により、大学のPC環境と同様の性能で展示できるため、余計な修正作業時間を削減し、限りある制作時間をより有効に活用できるようになりました。
今後の展開予定
直近では、現在開発中の作品で「愛知ゲームキャッスル」への展示を検討しており、再度機材協力をお願いする予定です。継続的な展示会PC レンタルの利用により、より安定した展示環境を確保し、作品の品質向上に集中できる環境を構築していきたいと考えています。
まとめ:学生開発者から見た機材協力の価値
今回の九州学生ゲーム大祭2025でのZOTACミニPC活用体験を通じて、機材協力の真の価値を実感することができました。単なる機材提供を超えて、学生開発者の創作活動を支援する重要なインフラとしての役割を果たしていると感じます。
展示会でのミニPC活用における優位性は、省スペース性、高い接続性、そして運搬の容易さにあります。特に学生にとって、無償での機材提供は時間的・金銭的制約を大幅に軽減し、より創造的な活動に集中できる環境を提供してくれます。
一方で、PC環境の変更により予期せぬ機材トラブルが発生する可能性もあり、ある程度のPC知識とゲームスペックに関する理解が必要となる点は今後の課題といえるでしょう。
展示会でのPCレンタルサービスは、学生ゲーム開発コミュニティの発展に大きく貢献する取り組みであり、今後もより多くの学生開発者がこのサービスを活用し、質の高い作品展示を実現できることを期待しています。
九州学生ゲーム大祭2025の会場内風景
ASOポップカルチャー専門学校4Fの展示フロア。複数のゲーム展示ブースが並び、来場者が学生作品を体験している様子。各ブースでZOTAC MAGNUS ONE ECM73070Cをはじめとする高性能機材が、学生開発者の創作活動を技術面で支えている。白いシャツを着た来場者がVRゲームを体験中。
展示会向け機材協力のお問い合わせ
学生の皆様の展示活動を支援するため、ZOTACでは展示会向けの無償レンタルサービスを提供しています。法人向け事前検証サービスも併せてご利用いただけます。