導入事例:転倒検知システム-CareVision- / 株式会社AXIVE様

平均年齢の上昇に伴い、様々なサービスが登場する介護・医療業界において競合他社、プライバシーやセキュリティーに配慮した転倒検知システムをZOTAC ZBOXと共に提供されている株式会社AXIVE 代表取締役 CEO 大槻知文さん、システム開発担当の株式会社portia代表取締役 里 陽平さんにお話を伺ってきました。

家族を想うからこそ、家族の立場に立った見守りサービスを
株式会社AXIVE 代表取締役 CEO 大槻知文さん

大槻さん「2018年4月ヘルステックAIで株式会社AXIVEを立ち上げ、転倒検知システムCare Visionを2021年にリリースしました。

きっかけは2017年に起きた家族の転倒事故です。高齢であることから緊急通報を行える見守りサービスに加入をしていたのですが、ちょっとのことだからと通報装置を身につけておらず発見に8時間もの時間を要しました。
大事に至らなかったものの、見守りサービスの要である通報装置を身につけていなかったことから、念のため無事にしているかWebカメラで私自身の目でも見守ることも提案しました。

ただし、家族と言ってもプライバシーはあります。見られていることに不安を感じられたとのことで見送りとなりました。実際問題、私自身も普段の生活があるので四六時中Webカメラから送られてくる映像をチェックする…というのも非現実的でしたね。

ちょうどその頃に話題となった人体を認識するのではなく、ボーン(簡易骨格情報)として認識させる技術が話題となり、これだ!と思ったのもあります。

何が求められ、何をなすべきかわかったものの、それを実現する能力は私にはありません。そこから人工知能(AI)に詳しいパートナー探しに奔走しました。
訪問したのが10社を過ぎた頃でしょうか、今のシステムを開発いただいている株式会社portiaさんに出会いました。

こちらの要望をすぐに理解してくれ、お互いが目指している方向が同じかどうか確認するための動作デモアプリケーションをわずか1週間で提供してくれました。
ここから開発が進み2018年夏には今の原型が出来上がっていたと思います。」

決済代行サービス会社が深層学習研究?

里さん「当社は主にネットを利用したBtoB専用オンライン決済サービス「PortiaPAY(ポーシャペイ)」の開発・運営サービス会社となります。

ちょうどお声かけをいただいた2017〜2018年ごろに深層学習の研究を進めていました。一見するとBtoB専用オンライン決済サービスと深層学習はマッチせず、新規事業の開拓のように思われるかもしれませんが実は紐づいています。

株式会社portia 代表取締役 里 陽平さん

深層学習は常にデータを学習させ、それを反映させるというのが基本的なサービスとなります。そのため、一回買い切りなどではなく、サービス提供会社とサービスを受ける会社の間では継続的な課金が必要になるつまり月額課金(サブスクリプション)ビジネスモデルです。

当社はそこに目をつけ、早い段階から自社から提案できる深層学習サービスを研究していました。大槻さんからお声かけいただいた時にはちょうど大槻さんが目をつけていたオープンサービスのモデルを当社でも利用研究していたためにスムーズなデモアプリケーションを提供することができました。

実際、今回のサービスでも当社の決済システムが採用されています。」

CareVisionサービスとは

大槻さんCare Visionサービスが優れている点としてはボーンモデルをベースとして転倒を検知するシステムであることです。
実際の映像はボーンモデルを読みむためだけに使い、保存はされません。イメージ映像の上にボーンモデルを重ねて表示しています。これはプライバシー性に優れているだけでなく、機密性にも優れています。

なお、転倒検出はPCからクラウド上にデータをアップロードし、解析を行なっています。
当初、介護施設向けシステムとして販売を行なっておりましたが、現在は介護施設と同じまたはそれ以上の割合で工場や研究施設からのお問い合わせや実際に導入いただいています。

業界初!骨格情報のみで転倒検知する AI システム「CareVision」を株式会社バルカー様が導入 https://axive-ai.co.jp/files/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%A7%9820220831%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9.pdf

施設では転倒検知に絞ってみるとサービスはそう多くありません。多くは指定場所を離れた / 侵入したの情報をもとに実際の担当者が確認をしています。
これは当然(当初の目的とは違う結果のため)誤検知となったり、映像を表示させることでプライバシー情報が表示されてしまうことになります。

作業負担軽減のための検知サービスにも関わらずスタッフの方の負担が増えてしまったり、誤検知検出の裏で本当に危険が起きていた場合の対応が遅れてしまう場合があります。
これらを非常に高い精度で転倒のみを検知できるのがCareVisionサービスであり、高いご評価をいただいています。」

CareVisionで採用されているZBOX

「ZOTACのZBOX Eシリーズ MAGNUS EN153060Cのみを現在システムとして採用しています。

深層学習を行うため、GeForce以上の部材を搭載したPCが必要となりますが、一方で設置環境はそもそも設置が想定された環境ではないことが一般的です。

CareVision導入においてトータルの設置スペースをあまり必要としないため、スペースが限られた現場にも導入できることがお客様からも好評を得ています
実際、デモ環境として普段から持ち運んでいるのですが、そのトータル環境の小ささというのはインパクトが大きいものと考えています。」

スーツケースにシステム一式が入ってしまうコンパクトサイズ

ZBOX Eシリーズ MAGNUS EN153060C

今後の展望

大槻さん「今後ますます介護業界のなり手が介護を必要とする人の差は拡がることが予測されます。

CareVisionのシステムは転倒を検知するシステムであり、介護を必要とする方を見張るシステムではございません。
絶対に解除が必要な転倒以外は介護される方の自律性を尊重し、少しでも運動や歩き回っていただき、健闘を維持することにご協力できれば幸いです。」

制作協力:
株式会社AXIVE
https://axive-ai.co.jp/
株式会社portia
https://portia.co.jp/

<本記事は2022年10月に行った取材をもとに作成されています。>

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